● 高泡
発酵している醪表面の泡の状態を表す。留添後一週間ぐらいで岩泡が高く盛り上がり、凹凸がなくなってきた状態。果実のような芳香が出てくる時期。
● 暖気(だき)
酛を造るとき、酛桶内での米の糖化を部分的に促進させてやるために行う温度上昇作業のこと。
● 暖気樽
暖気をする時に使う樽。極上の吟醸酒を造るのには、欠かせない重要な作業だが、手間がかかり、面倒なためこの作業を嫌がる蔵が多い。また、この作業を「アンカ」で行う蔵もあるが丁寧な仕事はできない。
● 種麹
麹を造る‘種’という意味。日本酒は黄麹菌を使用。
● 玉泡
発酵している醪表面の泡の状態を表す。落泡の次の時期で玉状となった泡をいう。
● 樽酒
木製の樽(通常は杉)で貯蔵し、木香のついた日本酒。
● ダレ
酸味が薄く、甘さが浮いて味にしまりがないこと。「ボケ」ともいう。
● 段掛法
仕込み時、段階(三段仕込み等)を追って仕込む方法。段仕込みともいう。
● 炭素濾過
日本酒に活性炭素を入れ、不要となった酵素や雑味等を吸着させること。使用量が多過ぎると、味も素っ気もない日本酒になってしまう。
● タンパク混濁
火入れ後の日本酒が白濁すること。「白ボケ」ともいう。
● 淡麗
酸味と糖分、両方ともに少ない日本酒。
● 淡麗甘口
酸味と糖分、両方とも少ないが、さっぱりしてまろやかな日本酒。
● 淡麗辛口
酸味と糖分、両方とも少ないが、さっぱりしてキレがある日本酒。
● 地
発酵している醪表面の泡の状態を表す。発酵の最後の状態で、玉泡が消える時期。
● 中温速醸酛
速醸系酛のひとつで、育成期間が七日ですむので、現在では速醸系酛の主流になっている。
● 貯蔵
最初の火入れが終わった日本酒を、蔵内の冷蔵庫(タンク)に入れて寝かせること。
● 貯蔵年数
貯蔵タンクに日本酒を移してから、貯蔵を終えた時までの年数。一年未満はカット。
● 貯蔵品温
貯蔵中の日本酒の温度のこと。「常温貯蔵」と「冷蔵貯蔵」がある。
● チリメン泡
発酵している醪表面の泡が「地」の状態になった時、醪表面に薄く何かが浮いている状態を指す。
● 突破精
麹を造る時に使われる言葉。破精の一つの状態(破精込み具合)を指す。米の表面の一部に破精ていない部分がある状態。しかし、破精ている部分は盛り上がり、内部への破精込み具合も深い。糖化力やタンパク質分解力もなかなか強く、吟醸酒のような淡麗酒に適している。
● 造り
米を発酵させ、日本酒を造ること。「仕込み」と同義。酛に麹と蒸米と水を加えて、並行複発酵させる工程。
● 付け香
香りを人工的につけること。特に香りを特徴とする吟醸酒に見られる。醪の発酵中に発生する香気を集め、それを冷却して抽出したエキスを出来上がった日本酒に再び添加し、あたかも初めから真っ当に仕込んだ日本酒のように香らせること。「ヤコマン」と同義。
● 積み替え
麹を造るとき、その途中で行う品温調整のこと。
● つわり香
腐造性乳酸菌が大増殖してもたらす悪臭。ジアセチルという物質がその正体である。妊婦が嘔吐をもよおすような気持ち悪い臭い、といったところからのネーミング。
● 低温貯蔵
貯蔵を低温で行うこと。「冷蔵貯蔵」ともいう。
● 出麹
出来上がった麹を麹室から出して布に広げて放冷すること。仕舞仕事後、酛用麹で約十二時間後、掛米用麹で約八時間後に出麹となる。
● 杜氏
「とじ」ともいう。元来は「刀自」という字があてられていた。日本酒造りの技術面をすべて統括する総責任者であり、酒質など大きな決定権がある。蔵人の人的管理も行う。一人一蔵。現在では酒造技能者と呼び、資格としては酒造技能検定・一級技能士をもつひとが多い。しかし、大事なことは資格ではなく、天性の味覚であり、人望である。さらに、経営的センス・社会動向における判断も必要とされてきている。
● 特別○○酒
使用原材料や製造方法などが、通常の材料や方法以外で造られ、それが客観的事項をもって説明・表示できる日本酒。たとえば、「特別本醸造」である。
● 床麹法
手造りによる麹造りの一つの方法。麹室にて、大きな台(床)の上に白布を敷き、そこに蒸米を広げて麹を造る。手造りの製麹方法としては一般的な方法。
● 床揉み
蒸米を揉み床の上で手入れをしてサバき、蒸米の温度を30℃に下げる作業のこと。麹室で、揉み床の上に白布を敷き、その上に蒸米を広げて数人の手で混ぜる。
● 留添
三段仕込みの最後(三回目)。単に「留」ともいう。仲添の後に、再び、麹・蒸米・水を加える。