役に立つ?日本酒頭語集マ行

● 前玉泡 

発酵している醪表面の泡の一つの状態を指す。玉泡の初期の状態で、これから徐々に玉泡が小さくなっていく。留添後二週間ほどの時期。

● 松尾様 

日本酒の神様のひとつ。

● 見掛精米歩合 

米を精米した時、「見掛上」どのくらい米が削られたかというもの。米を精米した後の重さ(白米重量 ㎏)÷精米する前の重さ(玄米重量 ㎏)×100=(%)で計算。通常、精米歩合70%(30%削って捨てた)というのは、この見掛精米歩合を言っている場合が多い(vs真精米歩合)。

● 水泡 

発酵している醪表面のあわのひとつの状態を指す。留添後3日~4日で出る、白くて軽い泡。糖分の度合いは最高値、つまり、麹の働きが最高潮に達したということ。

● 水切り 

洗米した米を一晩ムシロに広げて余分な水分を切ること。そして、米の中心まで水分が均等に行き渡っているかをチェックする。不足のときは、霧吹きなどで水分を足してやる。

● 水麹 

酛麹に水を混ぜて撹拌した麹。

● 水槽 

日本酒を搾るとき、だいたい三段階に分けてそれを行うが、最初の段階(荒走)と中間の段階(中取)を特に水槽という。(vs責槽)。主に、槽を使って搾った時の言葉。

● 水酛 

生酛系酛の一つ。

● 美山錦 

長野県で開発された酒造好適米。

● 蒸し取り 

蒸米を甑から取り出す作業。たいへん重労働である。

● メイラード反応 

日本酒の劣化のこと。アミノ酸や糖分の多い日本酒ほど劣化が早い。

● メシ麹 

馬鹿破精のひとつ。ベッチャッと、手で簡単に潰れてしまう麹。しかし、使えなくはない。

● もち米四段 

四段掛け方法の一つ。通常、醪が出来上がった時点で甘味調整をするが、その時、もち米を蒸して添加する方法をいう。

● 酛 

酵母という(ブドウ糖をアルコールに変える)微生物を、タンク内で純粋に大量培養した液。同時に、乳酸菌がつくり出す乳酸(酵母に危害を与える雑菌を駆除する働きをする)も大量にあるもの。「酒母」ともいう。

● 酛麹 

酛造りに用いるための麹のこと。酵母が養分を取り入れて増殖できるように、酵素力が豊富で、ビタミンやアミノ酸が十分あるように造られる。よって製麹時間は長い。

● 酛屋 

酛造り一切を取り仕切る責任者で、日本酒造り三役の一人。

● 酛四段 

四段掛けの方法の一つ。通常、醪が出来上がった時点で甘味調整をするが、その時、酛を添加する方法をいう。

● 揉み上げ温度 

床揉みを終わったときの蒸米の温度。

● 木綿搾り 

日本酒を搾るときに使う木綿製の袋。「木綿に柿渋」といって、柿の渋で染めたものが良いとされている。

● もやし 

「種麹」の別称。蒸米に種麹をつけた形がもやしに似ていることから付けられたもの。

● 盛り 

麹を造る際、その途中で行う品温調製のこと。床揉み後20時間~22時間経つと、急激に品温が上がり、大量の炭酸ガスが発生する。放っておくと麹菌の増殖が止まってしまうため、麹米を広げて一升ぐらいずつ分けて箱に入れ、温度を下げる作業。

● 醪 

仕込みタンク内で米が発酵しているもの、そのもののこと。

● ヤマコン 

「付け香」の別称、発酵中に出る香りを集めて冷蔵した捕香液のこと。それを出来上がった日本酒に添加し、あたかも初めからあった香りのように見せかけること。この方法を考えた三人の名前から採ったネーミング。

● 山卸 

精米歩合を高める作業のことで、半切桶の中に蒸米と水を入れ、櫂ですり潰す大変重労働な作業をいう。

● 山田錦 

酒造好適米の王様と言われる米。寒冷地には不向き。

● 山廃 

「山卸廃止」の略。山卸と言う作業を止めて、酛立てを行うこと。明治末に開発された方法。精米機が発達し、高精米が可能となったことから実現した。

● 山廃吟醸原酒 

加水調整をしていない山廃吟醸酒。力強く、男らしい味わいが特長。

● 山廃吟醸酒 

米・米麹と香味調整の目的で用いる醸造アルコールを原料に、山廃酛を用いて造った吟醸酒。

● 山廃純米吟醸酒 

米・米麹だけを原料に、山廃酛を用い、吟醸造りでできた日本酒。

● 山廃純米原酒 

加水調整をしていない山廃純米酒。若く、荒々しい酒質が特長。

● 山廃純米酒 

米・米麹だけを原料に、山廃酛を用いてできた純米酒。濃醇で、ハードな酒質が特長。

● 山廃純米大吟醸酒 

山廃純米吟醸酒の精米歩合を50%以下に高めた日本酒。

● 山廃大吟醸酒 

山廃吟醸酒の精米歩合を50%以下に高めた日本酒。

● 山廃酛 

山卸廃止酛の略で、生酛系酛を代表する酛。仕込み時に、既製の乳酸を添加しないで、自然の乳酸菌の育成を導き、酛中に乳酸を生成させて酵母を純粋に培養する方法。仕込みは通常6℃~8℃の低温で行われ、4日~5日その温度を保つ。この時期を打瀬といい、硝酸還元菌によって亜硝酸が生成される。この間に酛のタンク内を櫂でつつき米をすり潰す山卸の作業をしないことから山卸廃止→山廃の名称が生まれた。濃醇で、腰の強い酒質となるため純米酒などによく使われる。

● 融米仕込み 

米を10%ぐらい精米し、そこで熱湯の中に米を入れて融かし、仕込む方法。コストは安く上がるが、腰のない日本酒ができる。

● 四段掛け 

発酵が完了した時点で、甘味調整すること。その方法は、「甘酒四段」「うるち米四段」「酵素四段」「もち米四段」「酛四段」などがある。

● 冷酒 

冷やして呑むことを前提に造られた日本酒のことだが、こういう種類の日本酒があるわけではない。

● 冷蔵貯蔵 

貯蔵を冷蔵して行うこと。「低温貯蔵」ともいう。

● YK35 

「Y」は山田錦、「K」は協会9号酵母、「35」は精米歩合35%の意味。

● 割水 

「加水調整」の別称、同義。アルコール度数の調整のために、日本酒を水で割ること。

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